肛門から血液成分が排泄されることを下血といいます。
下血は、消化管のどの部位からも起こりえます。
上部消化管(食道、胃、十二指腸)のトライツ靭帯の口側からの出血は吐血の原因となるが、血液の大部分は蠕動運動中に肛門に移行し、下血となります。
したがって、吐血と出血が同時に見られる場合は、トライツ靭帯より口側からの出血といえます。
十二指腸は下行脚から水平部にかけて後腹膜腔に存在するが,空腸の起始部に移行するところで腹腔内に出てくる.その空腸に移行する部分が後腹壁に靱帯で固定されているが,その靱帯をトライツ靱帯という
食道、胃十二指腸、小腸からの出血は、ヘモグロビンが腸内細菌によって酸化・変色し、悪臭とコールタール様の光沢を持つ黒い便となり、これをタール便と呼びます。
出血の原因としては、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸ポリープ、大腸癌などが考えられ、患者さんは早期に病院を受診し、検査・治療を受けることが必要です。
出血のある患者さんは、出血の性質や始まり方(急性か慢性か)、始まる前の便通、服薬(鉄剤は便を黒くすることがある)、随伴症状(発熱、腹痛、便秘、吐き気・嘔吐、胸焼け)などを観察する必要があります。