腹痛は、文字通りお腹の中の痛みです。
少し例を挙げると、みぞおちの周辺には食道、胃、十二指腸、膵臓などがあり、これを心窩部と呼びます。
心窩部の痛みは、食道、胃、十二指腸、膵臓に絞り込むことができます。
食後に嘔吐やタール便を伴って痛みが強い場合は胃潰瘍、空腹時に痛みが強い場合は十二指腸潰瘍、重い食事や脂肪分の多い食事をした後に痛みが強い場合は膵炎となります。
心窩部を右にずらすと、右季肋部(右上腹部)と呼ばれ、肝臓や胆嚢がある場所です。
胆汁は脂肪の消化に関与しているので、脂肪分の多いものを食べた後に右腹部が痛む場合は、胆石がある可能性があります。
下腹部痛の原因はさまざまですが、最も多いのは大腸、生殖器、尿路の病気です。
その他、泌尿器や生殖器の病気もよく起こります。
血便がある場合は潰瘍性大腸炎や大腸がん、排尿痛がある場合は膀胱炎が疑われます。
他には臍と右上前腸骨棘を結ぶ線の外側1/3のマックバー二ー圧痛点の痛みは虫垂炎です。
また左右の上前腸骨棘を結ぶ線を3等分した右1/3の点は、ランツ圧痛点と呼ばれ、虫垂炎の痛みです。
このように急性虫垂炎にはマックバーニー点、ランツ点、キュンメル点、モンロー点という特徴的な圧痛点があります。
腸内にガスがたまると、腹部膨満感という腹部膨張がみられます。
この場合、まず腸閉塞(イレウス)が疑われます。
これはほんの一例ですが、腹痛の診断は非常に複雑です。