嚥下
口腔に取り入れられた食物は、随意運動である咀嚼(機械的な消化)を受け、咽頭から食道へ嚥下されます。
嚥下時、咽頭に入った食塊が鼻腔や咽頭へ行かないように、咽頭腔と鼻腔、咽頭腔と喉頭腔の間がそれぞれ反射的にふさがります。
嚥下障害
先行期 | 食物を認識して量を決め、口に運ぶ |
準備期 | 口に入った食物を嚥下しやすいように咀嚼し、食塊を形成する |
口腔期 | 口腔から咽頭へ食塊を随意的に移動させる |
咽頭期 | 食塊が舌によって後方へ押し出されると反射運動が起こり、軟口蓋が挙上して上咽頭を遮断し、食塊が鼻腔へ流れるのを防ぐ |
食道期 | 食塊は重力と蠕動運動によって食道内へ運ばれ、弛緩した下部食道括約筋を通って胃の中へ不随意に移動する |
③ 嚥下障害とは,嚥下機能が器質的・機能的に障害されることをいう。 器質的障害 (静的障害)の原因として炎症, 腫瘍, 異物, 奇形などがあり,機能的障害 (動的障害)の原因として脳血管疾患, 神経系疾患がある。
嚥下障害には、嚥下機能の器質的障害と機能的障害の両方があります。器質的(静的)障害は、炎症、腫瘍、異物、奇形などが原因で、機能的(動的)障害は、脳血管障害や神経疾患などが原因で起こります。
嚥下障害のスクリーニング
嚥下障害のスクリーニングには、3mLの冷水を飲み込んでもらい、口腔から食道までの全過程を評価する改良型飲水試験を実施します。
▼改訂水飲みテストの観察項目
●嚥下の状態(口角からの水の流出の有無等)
●むせの有無
●呼吸の変化等
嚥下訓練
嚥下訓練は、食物を用いた直接訓練と食物を用いない間接訓練(基礎訓練)に分けられます。
間接訓練には嚥下体操やアイスマッサージなどがあり、誤嚥の危険性が高い患者さんに適応されます。また、呼吸筋の廃用症候群の予防や嚥下器官の運動機能改善にも有効です。
嚥下体操は、食前に顎、頬、唇、舌を運動させることで筋肉を強化し、リラックスを促し、口腔内のステージを調整し、誤嚥を防止する体操です。
食前のアイスマッサージや氷舐めは嚥下反射を誘発し、嚥下障害の悪化を防ぐのに有効です。
嚥下訓練を行う際には、患者を疲労させないように注意する必要があります。
嚥下障害患者の口腔ケアでは、口腔内を吸引しながらブラッシングすることで誤嚥性肺炎のリスクを低減することができます。