【各論】神経系

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【各論】神経系
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内部環境の恒常性

例えば、スキー場のゲレンデに長時間放置されたとします。体温は下がりますか?体に異常がない限り、体温は一定に保たれます。このように、体内のあらゆるものが一定の温度に保たれているのです。これをホメオスタシス(恒常性)といいます。
ホメオスタシスとは、血圧、心拍数、体液・水分量、電解質、血糖値など、体内のさまざまなパラメータを維持することです。これらは、ホルモンと自律神経系によって維持されています。自律神経系は即効性があるが持続時間が短いのに対し、ホルモンは遅効性があるが持続時間が長いことが特徴です。

神経系

神経系は、私たちの日常の動作や感覚をつかさどる非常に重要な部分である。人間の体は、(1)上皮組織、(2)結合組織、(3)筋肉、(4)神経の4つの組織で構成されています。つまり、神経組織は私たちの体の構成要素であるだけでなく、私たちの非常に重要な機能的に非常に重要な部分なのです。例えば、感覚にはいろいろな種類があります。例えば、痛み、熱さ、冷たさ、触覚、圧力、見る、聞く、嗅ぐ、味わうなど、感覚にはさまざまな種類があります。これらの情報はすべて、神経によって脳に伝わります。これらの情報はすべて、神経によって脳に伝えられ、脳はそれを「感じる」のです。では、神経系(神経組織)の構造を見てみましょう。

神経組織は、大きく分けて神経細胞と神経支持細胞に分けられます。 神経細胞の構造をみていきましょう。核を含む 「細胞体」、 細胞体から細い線維が伸びる 「樹状突起や軸索」、軸索の末端には神経終末という、他の神経細胞との連絡場所を持っています。 さらに、 軸索の周りには支持細胞の一種「シュワン細胞」 が取り囲み、 「髄鞘」 を作ります。 軸索末端のすぐ隣には他の神経細胞の樹状突起があり、 「シナプス」 と呼ばれる連絡口があります。

さて、先ほど神経は情報を脳に伝えるといいましたが、ここで神経の興奮伝導の仕組みをみていきましょう。


神経細胞は、ある刺激(光、におい、味、音、寒さなど)を受けると、電気的に興奮する。通常、神経細胞の内部はマイナスに帯電していますが(物体が帯電する現象)、興奮性の刺激が起こると、その部分だけがプラス(正電荷)に変化します。これを「活動電位」といい、いわゆる興奮状態である。この活動電位は、神経の長い軸索に沿って伝わり、神経終末に到達します(伝導)。次に、「神経伝達物質」と呼ばれる物質が神経末端から隣の神経細胞に落ち、隣の細胞で活動電位が発生する。これが「伝導」と呼ばれる現象です。そして、興奮した神経は、リレーのように次々と軸索末端に伝達されていく。「髄鞘」は「跳躍伝導」といって、 伝導スピードの飛躍的な促進に働きます。


さて、この神経細胞と神経支持細胞でできた神経組織ですが、大きく分けて「中枢神経」と「末梢神経」に分かれます。 中枢神経はさらに、脳 (大脳、小脳、 間脳、中脳、橋、延髄)と脊髄に分かれます (中脳・ 橋延髄をまとめて 「脳幹」と呼びます)。脳は、頭蓋骨の中に、脊髄は脊柱管内に収納されています。 つまり、 非常に重要な組織ということで、丈夫な骨によって守られているのです。 さらに、脳や脊髄は「髄膜(硬膜・くも膜・軟膜)」と呼ばれる3層構造の膜に包まれ、 組織の保護に役立っています。

次に、末梢神経について説明します。これらは、脳神経と脊髄神経に分けられます。脳神経は頭蓋骨から、脊髄神経は脊柱から出るので、このような名前になっています。この命名法はややこしいのですが、「構造的」な側面に着目して分類しています。前者は皮膚や骨格筋に分布する神経を指し、後者は内臓や血管平滑筋、分泌腺に分布する神経を指します。
それでは、脳と脊髄の各部位の構造と機能を見ていきましょう。

大脳

  • 脳の最も上方に位置し、左右の大脳半球より構成される
  • 大脳の表面は「灰白質(大脳皮質)」となり、神経細胞体が集まっている。 内部は「白質」となり神経細胞の線維 (軸索や樹状突起)が集まっている
  • 大脳の表面は、中心溝(ローランド溝)・外側溝(シルビウス溝) 頭頂後頭溝によって前頭葉 頭頂葉 側頭葉 後頭葉に分かれる
  • 大脳の場所により、運動中枢、感覚中枢、 視覚中枢、 聴覚中枢、味覚中枢、言語中枢などがあり、 大脳の 「機能局在」 と呼ばれる
  • 言語中枢は大脳の優位半球 (通常は左) の新皮質に2か所存在する。 1つは運動性言
  • 語野 (ブローカ野) で、 前頭葉の運動野の近くにあり、 発語に必要な筋を支配。 もう1つは感覚性言語野 (ウェルニッケ野) で、 側頭葉の聴覚野の後方にあり、 言語の入力に関わる
  • 大脳内部には数か所の灰白質 (尾状核被殻・淡蒼球など) があり、大脳基底核と呼ばれる

小腦

  • 脳幹の後ろに位置し、 左右の小脳半球と中間の虫部より構成される
  • 姿勢を保持するなどの運動調節の統合中枢や熟練の技の習得などに関与する

間腦

  • 左右の大脳の間にあるということで間脳と呼ばれる
  • 大きく視床下部と視床に分かれる
  • 視床下部は自律神経の最高中枢、内分泌系の上位中枢として働く
  • 視床下部には、摂食・満腹中枢、飲水調節中枢 (渇中枢)、 体温調節中枢、睡眠中枢性中枢などがある
  • 視床下部のさらに下には下垂体がぶら下がり、内分泌系の下位中枢として働く
  • 視床は嗅覚以外のすべての感覚情報の中継点となる
  • 視床の上部には 「松果体」 があり、 メラトニンが分泌され日内リズムの維持に関わる
  • 視床の尾側には、 内側膝状体と外側膝状体があり、それぞれ聴覚と視覚の中継点となる

脳幹

  • 間脳の下方、 脊髄の上方に位置する
  • 中脳・橋延髄より構成される
  • 中脳内部には赤核・黒質があり運動調節に関わる(黒質の変性はパーキンソン病に関わる)
  • 中脳には対光反射輻輳反射などの瞳孔反射中枢がある
  • 中脳の背側には上丘・下丘という膨らみがあり、それぞれ視覚と聴覚に関わる
  • 中脳は姿勢を反射的に調節する
  • 意識や覚醒レベルに関与する部位 (網様体)がある
  • 延髄には、唾液分泌・せき・くしゃみ・嘔吐嚥下・呼吸・循環中枢がある

脊髄

  • 脊柱の中の脊柱管に保護されている
  • 下端は腰椎の1番目から2番目の間で終わる
  • 下端からは脊髄神経がぶら下がり、「馬尾」 を形成する
  • 中央にH型をした灰白質と外側に白質がある
  • 脊髄は運動神経が出て、 感覚神経が戻る場所である
  • 白質は運動と感覚の情報が通る通路となる

脳と脊髄はそれぞれ重要な役割を担っています。特に、脳幹は循環と呼吸の中心であり、これらの部位が損傷すると命にかかわります。
次に、末梢神経の役割について説明します。脳からは12対の脳神経が、脊髄からは31対の脊髄神経があります。まず、脳神経の名称と役割についてまとめておきます。

脳神経

I : 嗅神経 →嗅覚情報を脳に伝える

Ⅱ : 視神経→視覚情報を脳に伝える

Ⅲ: 動眼神経→眼球の運動を司る外眼筋、レンズの厚さを調節する毛様体筋、瞳孔を収
縮させる瞳孔括約筋を支配

Ⅳ: 滑車神経→眼球の運動を司る外眼筋を支配

V: 三叉神経→顔面の知覚および咀嚼筋を支配

VI : 外転神経→眼球の運動を司る外眼筋を支配

VII:顔面神経→顔面の表情筋、唾液腺の顎下腺・舌下腺、涙腺を支配し、舌の前2/3の味覚を支配

Ⅷ: 内耳神経→聴覚情報と平衡覚情報を脳に伝える

Ⅸ:舌咽神経→舌の後半の感覚、 咽頭の運動と感覚、唾液腺の耳下腺、舌の後ろ1/3の味覚を担当

X: 迷走神経→舌咽神経とともに咽頭や喉頭の皮膚や筋を支配し嚥下に関わる。胸腹部内臓のほとんどの働きを支配

Ⅺ: 副神経→僧帽筋と胸鎖乳突筋を支配

Ⅻ: 舌下神経→舌の運動を司る舌筋群を支配

脊髓神經

脊髄神経は31対の神経線維で構成されている。頚部神経が8対、胸部神経が12対、腰部神経が5対、仙骨神経が5対、尾骨神経が1対で構成されています。脊髄神経は脊髄から出ており、前枝と後枝に分かれています。前枝は側腹部、上肢、下肢の皮膚や筋肉に分布しています。後枝は、背中の皮膚や筋肉に分布しています。前枝は上枝、下枝と各所で絡み合い、「神経叢」を形成しています。そして、前枝は頸部、四肢、腹部などに分布しています。

つまり、脳神経の多くは首より上に分布し、脊髄神経は首より下で全身の皮膚や骨格筋に分布しているます。

最後に、自律神経について見ていきましょう。自律神経とは、私たちの体の自律神経機能を調節している神経系です。
交感神経と副交感神経に分けられます。この2つの神経は同時に働くのではなく、一方が働いてもう一方が休む、あるいはその逆のシーソーのような関係で働きます。これを「拮抗作用」といい、両神経の活動によって体に変化が起こります。具体的な神経支配の部位としては、内臓、分泌腺、血管平滑筋、末梢の化学受容器や圧受容器などがあります。

交感神経は、ストレスを感じているとき、戦っているとき、何かから逃げているときに優位に立つとよく例えられます。
交感神経は、ストレスを感じているとき、戦っているとき、何か怖いものから逃げているときに優位になります。一方、副交感神経は、リラックスしているときや休んでいるときに優位になります。
副交感神経と副交感神経は、次の臓器にどのように作用しているのでしょうか。

次の表にまとめました。

交感神経の影響副交感神経の影響
瞳孔散大(拡張)縮瞳(収縮)
唾液腺粘性唾液分泌漿液性唾液分泌
心拍数増加減少
末梢血管収縮支配なし
気管支拡張収縮
胃腸運動抑制促進
排尿抑制促進
副腎髄質アドレナリン、ノルアドレナリン支配なし
男性生殖器射精勃起
汗腺分泌促進支配なし
立毛筋収縮支配なし

自律神経は体性神経と異なり、神経節を経由します。神経節の中心側にある神経を「前神経節線維」、末梢側にある神経を「後神経節線維」と呼びます。それぞれの線維の末端と遠心から神経伝達物質が放出されるが、交感神経の節後線維だけがノルアドレナリン、その他はアセチルコリンを分泌するという違いがあります。(汗腺は交感神経系であるが、節後線維の伝達物質はアセチルコリンである)。

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