【各論】運動・関節・骨系

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【各論】運動・関節系

骨格は、私たちの体を支える土台です。意外なことに、骨格は約200個しかないそうです。骨には筋肉(骨格筋)がついていて、この筋肉が運動も行っています。つまり、骨と骨格筋が運動器官を構成しているのです。


体を支え、運動する以外に、骨にはどのような役割があるのでしょうか。臓器を保護したり、カルシウムを蓄えたり、血液を作ったり。頭蓋骨と脊柱は脳と脊髄を、肋骨は心臓と肺を守っているのです。さらに、体内のカルシウムの実に99%が骨に含まれているのです。まさにカルシウムの銀行なのです。


骨の内部は緻密質と海綿質に分けられ、前者は表層に、後者は深層にある。また、長骨(大腿骨など)の深部中央には髄腔と呼ばれる腔状の空間があります。髄腔と海綿体の間の空間には「骨髄」があり、ここに造血幹細胞が存在し、活発に造血機能を発揮しています。


これがいわゆる「赤色骨髄」である。しかし、この造血機能は加齢とともに変化します。
大腿骨や脛骨などの長骨では、造血機能が低下し、次第に脂肪組織に置き換わっていきます。これが「黄色骨髄(脂肪性骨髄)」です。大人になっても造血機能が保たれている骨は?胸骨、脊椎骨、腰骨、肋骨などの胴体の骨です。

次に重要なのが「関節」です。基本的に関節は、軟骨の端が向かい合った2つの骨からなり、骨の端は「関節包」という繊維状の結合組織で覆われています。関節包の中には滑液という液体が入っていて、関節に栄養を与え、関節を動かしやすくしています。関節の障害には、捻挫や脱臼などがあり、臨床上非常に重要です。


ここで、骨の分類と概要についておさらいしておきましょう。

骨は大きく体幹と四肢に分けられる。体幹は頭蓋、脊柱、胸郭からなり、四肢は上肢と下肢に分けられます。


それぞれのカテゴリーに登場する骨を見ていきましょう。

頭蓋

15種23個の骨からなり、縫合で連結されています。脳を保護しています。

脊柱

頸椎(7個の椎骨)、胸椎(12個の椎骨)、腰椎(5個の椎骨)、仙骨(5つの仙椎が1つに癒合) 尾骨 (3~5個の尾椎が癒合)からなり、中に脊柱管があり、 脊髄を収容しています。

胸椎と仙骨は後彎、 頸椎と腰椎は前彎といって、彎曲しており、これを「生理的彎曲」といいます。

胸郭

1つの胸骨、 12対の肋骨、 12個の胸椎からなり、肋骨は胸椎から出ています。

心臓や肺を保護しています。

上肢

上肢帯 (鎖骨 肩甲骨)と自由上肢骨 (上腕骨、橈骨(前腕の母指側)、尺骨(前腕の小指側) 手の骨)

下肢

下肢帯 (骨盤) 自由下肢骨(大腿骨、脛骨、 腓骨、足の骨)ここで、骨盤とは、寛骨、 尾骨、仙骨を合わせたものをいいます。

筋肉

一口に筋肉と言っても、大きく2つに分かれます。 1つは自分の意志で動かすことのできる随意筋、そしてもう1つは、 自分の意志では動かせない不随意筋とがあります。 随意筋の中には骨格筋、 不随意筋の中には平滑筋と心筋が含まれます。

次に、骨格筋の基本構造をみていきましょう。
骨格筋の両端は 「腱」 となって、 骨と結合しています。 結合している部分のうち、体幹に近い側を 「起始」 遠い側を 「停止」 といいます。 骨格筋が働くと収縮しますが、 この際、停止が起始に近づくことで、 筋の運動が起こります。 そして、 関節を曲げたり伸ばしたりできるのです。骨格筋の働きによって、 屈曲・伸展、 外転・内転、 外旋 内旋、回内 回外、挙上・下制などの動きができます。
では、主な関節における関与する骨格筋の名称をみていきましょう。

肩関節

球関節
外転: 三角筋
内転: 大胸筋、広背筋

肘関節

蝶番関節
屈曲 上腕二頭筋など
伸展: 上腕三頭筋

股関節

球関節
屈曲: 腸腰筋
伸展: 大殿筋
外転:中殿筋
内転 :内転筋群

膝関節

蝶番関節


屈曲: ハムストリングス (大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)


伸展: 大腿四頭筋 (大腿直筋、外側広筋 中間広筋、 内側広筋)

足関節

蝶番関節
背屈(足先が上がる動き) :前脛骨筋
底屈(足先が下がる動き) : 下腿三頭筋 (ヒラメ筋、腓腹筋)

骨折

骨折とは、骨の全体もしくは部分的に連続性が絶たれたものをいいます。

1. 外傷性骨折
骨折のほとんどは外傷によるものです。 正常な骨に外力が作用して完全もしくは部分
的に離断されたものです。

2. 病的骨折
骨粗鬆症や骨腫瘍などの基礎疾患があり骨組織が脆弱になっているときに、正常な骨であれば骨折が起こり得ないようなわずかな外力、 あるいは外力なしで発生するものをいいます。

3. 疲労骨折
普通では骨折を起こさない程度の小さな力でも、長距離走など骨の特定部位に繰り返
し連続的に負担が加わることで起こるものをいいます。

原因による分類以外にも皮膚の損傷の有無による分類があります。皮膚損傷を伴い、 外界と損傷部位が交通しているものを開放 (複雑) 骨折といいます。

感染の恐れがあるため6~8時間以内の処置が必要となります。

一方、外界と連絡のないものは閉鎖 (単純)骨折といいます。骨折の症状には、疼痛、腫脹、 皮下出血、変形、異常可動性、軋轢音(あつれき音) ショックなどがあります。

骨折の治療の3原則は、 ①整復、②固定、 ③リハビリテーションです。


また、ギプス固定後であっても、神経損傷に注意を払います。 特に下腿骨骨折の際の腓骨神経麻痺や、上腕骨顆上骨折などで生じやすいフォルクマン拘縮の予防は重要です。


*高齢者の骨折は治りにくく、寝たきりをつくる原因となっています。
高齢者に多い骨折には次のようなものがあります。


上腕骨外科頸骨折(手掌をついて転倒した際に発生)
橈骨遠位端骨折(手掌をついて転倒した際に発生)
大腿骨頸部骨折(転倒後起立不能となる)
腰椎圧迫骨折(尻もちをついたときなど、 腰椎が上下に圧迫された際に発生 )

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