看護師国家試験出題範囲 目標Ⅲ.看護に必要な人体の構造と機能および健康障害と回復について基本的な知識を問う。の『大項目』中に「人体の構造と機能」があり、『中項目』には今回のタイトルである「人間の死」があります。小項目として問われる内容は以下のとおりになります。
- 死の三徴候
- 死亡判定
- 脳死
死の三徴候
医師は死亡宣告をするにあたり、 脈をとり、 呼吸を聴診し、瞳孔を確認します。 この、「心臓停止」「呼吸停止」 「瞳孔散大 (および対光反射の消失)」 を、死の三徴候といいます。
死亡判定
死亡の判断は医師が行います。一般的には、上記の3つの死の兆候をもとに判断されます。それまで生きていた人の死を宣告するわけですから、医師にとっても看護師にとっても、とてもつらい瞬間です。
脳死
「脳死」という概念は、従来の「心臓が止まる」という概念を根底から覆すものです。脳死とは、心臓や肺は人工的に動いているが、脳の機能が完全に停止している状態を指します。
2009年7月に「臓器の移植に関する法律」(臓器移植法)が改正され、脳死を死と定義し、脳死移植が可能になりました。
脳死判定の要件については 「臓器移植法施行規則」によって規定されています。
①深昏睡 (JCS Ⅲ-300またはGCS3)
②瞳孔固定 (両側4mm以上)
③すべての脳幹反射の消失 (対光反射角膜反射など)
④平坦脳波
⑤自発呼吸の停止
脳死判定は非常に重い責任を伴うため、移植に関与していない2名以上の医師(脳死判定士)が行わなければなりません。
2回目の脳死判定は、1回目の脳死判定から6時間(6歳未満は24時間)以上経過していなければならず、その結果も同じでなければなりません。
日本では、これまで15歳未満からの臓器摘出は認められておらず、小児からの臓器移植は不可能とされてきました。2009年に臓器移植法が改正され、小児例や本人の意思が不明な場合でも、家族の同意があれば臓器摘出が可能になりました。