【必修問題】倫理原則

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【必修問題】看護における倫理

看護師国家試験出題範囲 目標Ⅰ.健康および看護における社会的・倫理的側面について基本的な知識を問う。の『大項目』中に「基本的人権の擁護」があり、『中項目』には今回のタイトルである「倫理原則」があります。小項目として問われる内容は以下のとおりになります。

  • 自律尊重
  • 善行
  • 公正、正義
  • 誠実、忠誠
  • 無危害
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自律尊重

「自律」とは「自由な 行動とは自律的に行動することで、自律的とは自然の命令や社会的な因習ではなく、自ら課した法則に従って行動することである」というカントの道徳論を基礎としています。
 生物医学・行動研究における倫理的原則とガイドラインを定 め た「 ベ ル モ ント・ レ ポ ー ト 」TheBelmont Report 1979では「自律性を尊重するということは、自律的な個人が考え熟慮して至った見解や選択を重んじ、明らかに他者を害する場合以外は、その人の行動を妨げない」と書かれています。

自律性とは、「自由に選択できる状況において、自分で判断し、自分らしく行動できること」です。
生命倫理における「自律性の尊重」の原則は、「患者さん自身の意思決定と意志を尊重し、患者さんの行動を制限したり妨害したりしないこと」です。

近年、医療現場では「インフォームド・コンセント」が導入されています。

これは、患者さんに情報を開示し、その内容を十分に理解し、納得した上で「自律的な意思決定」ができるよう支援するものです。

これは、「自律性尊重の原則」に基づく医療従事者の積極的な責務と考えられています。

言葉や文化の違いから正しい情報を得ることができない外国人患者の診療に医療通訳を導入することは、正確な情報を提供し、患者の自律的な意思決定を支援するための重要なステップとなります。

言葉や文化の違いから正しい情報を得ることができない外国人患者の診療に医療通訳を導入することは、正確な情報を提供し、患者の自律的な意思決定を支援するための重要な一歩となります。

これこそが、外国人患者の「自律性の尊重」を保障するものです。

また、医療通訳が患者さんの代わりに発言し、アドバイスをすることも「自律性の尊重」の観点から重要です。

また、医療通訳者が患者の代弁をしたり、アドバイスをすることは「自律尊重」の観点から考えると、患者の自律した決定を妨げ干渉する行為であると言えます。

医療通訳者の「自律性の尊重」に対する責任は、患者が理解できるように情報を正確かつ忠実に通訳することでもあります。

状況としては以下のとおりです

  • 治療法や治療のプロセスなどについて説明をして(インフォームド・コンセント)、 患者が十分理解した上で、患者の自由意志に基づき合意する
  • インフォームド・コンセントを受けた上で、患者が治療を受けないと決定した場合はその意思を尊重する

患者が自己決定するために必要な情報を提供し,そのうえで患者が決定した内容を尊重し,従うこと.

善行

善行とは、患者のために善をなすこと。最善を尽くすこと。ここでは、医療従事者側が考える善行ではなく、患者が考える最善の善行を行うというものです。

状況としては以下のとおりです

• 患者の症状に合った治療方法があれば、できうる最良の治療をする

患者の考える最善の利益を得られるために努めること

公正、正義

公正とは

患者さんの扱いが平等で公平であること。医療においては、限られた医療資源(医療施設、医療機器、医療材料、医療従事者等)を適切に配分することも公平の原則に含まれます。

状況としては以下のとおりです

・大事故、災害の際に、一度に多くの患者が発生した場合に、重症度に
従って、優先順位を決める(トリアージ)

正義とは

患者さんを公平・公正に扱い、限られた医療資源を適切に配分する原則のことです。医療資源は物的にも人的にも有限であるため、それをいかに公平・公正に配分するかを考える必要があります。

しかし、何をもって公平・公正とするかは、その社会の基本的な考え方に大きく依存します。例えば、日本では国民から集めたお金を財源とする国民皆保険制度があります。

このお金は、医療や介護のための公的資金です。したがって、資金の分配は公平・公正でなければなりません。

一方、基本的に自己責任・自助努力の自由主義社会であるアメリカでは、自己負担で保険商品に加入するか、雇用主が民間保険を提供しない限り、医療を受けることができない場合があります。

全ての患者に対し,患者のニーズに従って,適正かつ公平なヘルスケア資源の配分を行うこと.

誠実、忠誠

誠実(真実)の原則

これは「真実を伝える」という意味で、「自己決定のためには真実の情報を提供しなければならない」という「自律の原則」とも関連する。

患者に対し正直であること

忠誠の原則

自律性と誠実性の原則に似ているのが、他者への尊重の側面です。
これは、信頼関係に内在するもので、約束を守ること、秘密を守ること、役割を果たすことなどが含まれます。

患者と看護師の間の信頼関係に内在する義務に対して誠実であること.

無危害

患者さんに危害を及ぼさないという意味であり、転倒・転落による怪我の予防など、患者さんに危害が及ぶことを避けるために十分な注意を払うという意味です。

患者に危害を加えないこと.また,患者に身体的・精神的・社会的な危害が生じるリスクを回避すること

看護の倫理原則

原 則概 要
自律尊重患者が自己決定するために必要な情
報を提供し,そのうえで患者が決定
した内容を尊重し,従うこと.
医療者から十分な説明をきき,納得したうえで,
寿命が短くなっても喉頭を切除せずに自分の声で
話すことを選んだ患者の意思を,自律尊重の原則
に基づき尊重し従う.
善 行患者の考える最善の利益を得られる
ために努めること
転倒のリスクのある患者に対し,危害を回避する
ため,患者の同意のもと善行の原則に基づいて,
ベッドサイドでのポータブルトイレの使用を促
す.
無危害患者に危害を加えないこと.また,
患者に身体的・精神的・社会的な危
害が生じるリスクを回避すること
術後せん妄のある患者がトイレでの排泄にこだわ
りがある場合,無危害の原則に基づき,患者・家
族の同意を得て,転倒予防のために夜間のみ離床
センサーを使用し,トイレ歩行に付き添う.
公正と正義全ての患者に対し,患者のニーズに
従って,適正かつ公平なヘルスケア
資源の配分を行うこと.
災害発生時は,公正と正義の原則に基づき,負傷
者の状況に応じて優先順位を考え,適切な配分で
医療・看護を提供する
誠実と忠誠誠実の原則:患者に対し正直である
こと
誠実の原則に基づき,治療のメリットとデメリッ
トを正直に患者に説明する.
忠誠の原則:患者と看護師の間の信
頼関係に内在する義務に対して誠実
であること.
患者から「誰にも言わないでほしい」と言われた
内容は,忠誠の原則に基づき,治療や看護ケアの
目的以外に他の人に漏らさない.
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