【必修問題】幼児期

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【必修問題】人間のライフサイクル各期の特徴と生活

看護師国家試験出題範囲 目標Ⅱ.看護の対象および看護活動の場と機能について基本的な知識を問う。の『大項目』中に「人間のライフサイクル各期の特徴と生活」があり、『中項目』には今回のタイトルである「幼児期」があります。小項目として問われる内容は以下のとおりになります。

  • 身体の発育
  • 運動能力の発達
  • 言語の発達
  • 社会性の発達
  • 基本的生活習慣の確立
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幼児期とは

幼児期は,話しことばと歩行が獲得される1歳半ころから就学する6歳ころまでの時期を指します。

エリクソン発達課題

幼児前期:自律性 

幼児後期:積極性(自発性)

ハヴィガーストの発達課題

  • 歩行の学習
  • 固形食接種の学習
  • しゃべることの学習
  • 排泄の統制を学ぶ
  • 性差及び性的な慎みを学ぶ
  • 社会や自然の現実を述べるために概念を形成し言語を学ぶ
  • 読むことの用意をする
  • 善悪の区別を学び良心を発達させ始める

身体の発育

体重増加と身長


新生児
3~4か月1歳2歳半4歳半
身長(cm)
出生時との比較
50 75
(1.5倍)
 100
(2倍)
体重(kg)
出生時との比較
3  6
(2倍)
 9
(3倍)
 12
(4倍)
 15
(5倍)

身体的評価

身長と体重のバランスはカウプ指数(体格指数)で評価します。

カウプ指数 = 体重(g)÷身長(cm)÷身長(cm)×10

例)体重 10.3kg、身長 81.4cm 10,300g÷(81.4)÷(81.4)×10=15.5

【判定基準】
カウプ指数の正常値はおおよそ15~19とされており、それ以上を肥満、以下をやせと判定する。判定基準に男女差はないが、年齢により正常値に違いがある。また乳幼児に個人差もあり、判定基準や正常範囲はあくまでも目安とされている。

この表では、例えば乳児の「普通」は16~18ですが、実際には15~19の範囲であれば問題がないとする小児科医もいたり、個人差があったりしますので、判断基準はあくまでも目安です。

【正常範囲】
乳児(生後3か月~):16 ~ 18未満
満1歳: 15.5~17.5未満
1歳6か月: 15~17未満
満2歳: 15~17未満
満3歳:14.5~16.5未満
満4歳:14.5~16.5未満
満5歳:14.5~16.5未満

【カウプ指数のメリット】
簡単な計算式で乳幼児の標準的な発育を確認できる。

【カウプ指数のデメリット】
カウプ指数はあくまで現時点での数値を示すだけであり、年齢により判定基準が異なるので、継続した成長の指標にならないことに注意する必要がある。

左手レントゲン例

手根骨の化骨数は年齢とほぼ一致しているので、エックス線にみられる化骨の数・大きさ、骨端部の大きさ・形・濃さなどにより成長判定ができます。

手根骨の化骨の数=年齢数(または年齢数+1)

幼児期身体上の特徴

咀嚼・消化機能・乳歯は2~3歳で生えそろう。(上下10本ずつ。計20本)
・消化機能では2~3歳に多糖類を分解するアミラーゼが活性する。
・1歳ごろタンパク質分解酵素が活性する。
・2~3歳ごろに膵リパーゼが活性し成人と同程度になる。
神経系脳重量は5~6歳で成人の約90%に達する。
免疫系・IgGは5~6歳ごろ成人と同程度になる。
・IgMは1歳ごろ成人と同程度になる。

運動能力の発達

幼児期の神経系の発達は「6歳ごろまでに大人の約90%に達する」といわれており、この時期に多様な動きを行うことは、日常生活で必要な動き・防衛反応・将来的にスポーツに結び付く動きなどを獲得する上で、大変重要であると言われています。

1歳~1歳半

粗大運動:2~3歩から歩き始め、徐々に歩く距離を延ばしていく。何かを持ったまま立ち上がることができる。

微細運動:親指と人差し指でものを摘まむ → 積み木を3個程度積む。スプーンを上握りで使う。上下または左右になぐり描きをする。玩具を押して動かす。

1歳6か月~2歳

粗大運動

  • 小走りができるようになる。
  • 手すりのある階段の昇り降りできる。
  • 物をまたぐことができる。
  • しゃがむことができる。
  • 低い段差から飛び降りることができる。
  • ボールを投げることができる。

微細運動

積み木を5個程度積む。積み木を長く並べる。スプーンを下握りで使う。ゆるい円を描く。

2~3歳

粗大運動

バランスをとる、走る、止まる。両足でその場でジャンプする。交互に足を動かして階段を登る 物にぶら下がる 三輪車を蹴って移動する。

微細運動

スプーンを三指握りで使う。指を1本ずつ動かせるようになる。大小の丸や、長短の線を描く。

3~4歳

粗大運動

片足で2秒程度立つことができる。じゃんけんをしながら前に進むことができる。後ろ向きに歩くことができる。三輪車をこぐことができる。

微細運動

大きなボタンの留め外しをする。顔を描く。顔から手足が出る「頭足人」を描く。箸を使い始める。ハサミを繰り返し動かし、直線を切る。

4~5歳

粗大運動

スキップをする。でんぐり返しをする。両方の足でケンケンをする。5秒程度の片足立ちをする。足を交互に出して階段を下りる。

微細運動

小さなボタンの留め外しをする。左右の手で異なる操作をする分化が進む。四角形を描く。胴体を含んだ人物画を描く。

5~6歳

粗大運動

縄跳びを使い両足跳びをする。鉄棒で前回りをする。跳び箱を跳ぶ。ブランコを立ち乗りする。かかと歩き、つま先立ちをする。

微細運動

三角形を描く。ファスナーを閉める。道具の扱いが巧妙になる。

言語の発達

1歳~1歳半

語彙数は30~50語。名詞やあいさつ語を中心に、身近で聞く言葉を模倣する。簡単な言葉を理解でき、指差しで応じる。名前を呼ばれると返事をする。(マンマ・パパなど)

1歳6か月~2歳

語彙数は50~300語。「ワンワン+ナク」等の、2つの言葉を繋げた二語文を話す。

2~3歳

語彙数300~1000語。姓と名を言う。三語文を話すようになる。使える助詞が爆発的に増える。基本的な助動詞を使うようになる

3~4歳

語彙数1000~1500語。「ぼく」「わたし」等の一人称を使う。「食べ物」「動物」等の抽象的な言葉が分かる。

4~5歳

語彙数1500~2000語。正しい子音の発音が増える。自分の名前が書かれた平仮名を読めるようになる。

5~6歳

語彙数2000~3000語。ほとんどの子音を正確に発するようになる。平仮名を読めるようになる。

社会性の発達

1歳~1歳半

養育者の表情をみる。大人の行動を再現した遊びをする。一人遊びをする。

1歳6か月~2歳

自分の存在に気付いたりと「自我」が芽生える。

2~3歳

自己主張が強くなる。友達に関心が向き、一緒に遊ぶ楽しさを気付く。自分の物と他者の物を区別する。

3~4歳

気の合う友達と同じ遊びをする。

4~5歳

抑制機能が高まる。他者の気持ちを理解できるようになる。他者の目を気にする自意識が芽生える。競争心が高まり勝敗・順位を意識する。集団での遊びを楽しむ。

5~6歳

共通のルール・特定の目的があったりと協同的な遊びをする。道徳的な判断基準を持ち、行動に示す。

基本的生活習慣の確立

1歳~1歳半

排泄間隔が固定されてくる。前歯で食べ物を噛み切る。手掴み食べをする。着脱を自分でやろうとする。

1歳6か月~2歳

動作で排尿意思を示す。舌で食べ物を動かし、奥歯を使い噛む。コップを使い一人で飲む。手助けを受けて着脱をする。

2~3歳

言葉でトイレに行きたいことを教えて、一人で行為をする。片手をお椀等に添えて食べる。着脱を一人でおこなう。服の前後・表裏が分かってくる。

3~4歳

トイレットペーパーを使い自分で拭く。裏返った衣服を自分で表に返す。

4~5歳

食事・排泄・着脱の習慣が一通り身に付く。

5~6歳

尿意を感じたら自分でトイレへ行く。気温に合わせて、自分で衣服の調整をする。

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