【必修問題】新生児・乳児期

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【必修問題】人間のライフサイクル各期の特徴と生活

看護師国家試験出題範囲 目標Ⅱ.看護の対象および看護活動の場と機能について基本的な知識を問う。の『大項目』中に「人間のライフサイクル各期の特徴と生活」があり、『中項目』には今回のタイトルである「新生児・乳児期」があります。小項目として問われる内容は以下のとおりになります。

  • 発達の原則
  • 身体の発育
  • 運動能力の発達
  • 栄養
  • 親子関係
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発達の原則

新生児とは生後4週間までの赤ちゃんを指します。誕生日を0日とすると28日未満、それ以降は乳児と呼ばれます。幼児と呼ばれるのは離乳後が一般的ですが、日本の法律では満1歳から就学前(5歳~6歳ごろ)の子どもを幼児としています。

• 子どもの成長発達は,いくつかの原則に基づいて進行していきます。
• 成長発達が早い子どもと遅い子どもがいるが,一般的原則は同じです。

方向性・順序性がある

  • 頭部から足の方向へ進む。
  • 身体の中心部から末梢の方向へ進む。

急速に発達する時期と緩慢な時期がある


• 各器官によって成熟する時期や速さが異なる.スキャモンは,全身の器官を
リンパ系型,中枢神経系型(脳,脊髄),一般型(筋肉,骨格,呼吸器,消化
器,循環器,血液量など),生殖器型に分類し,各臓器の発育を図式化して
いる.
• ある器官や機能が成熟する過程には,決定的に重要な時期(臨界期)があり,
臨界期に適切な刺激が加われば成長発達が促される.反対に,臨界期に必要
な刺激がなければ成長発達が阻害されてしまう.
• 身長や体重は病気や障害によって一時的に成長が妨げられても,身体状況が
改善すると病気になる前よりも速い速度で成長が追いつく(キャッチアップ
現象).

個人差がある

  • 遺伝的要因や環境的要因(家庭環境,社会的環境,健康状態など)の影響を受ける.
  • 諸器官の成熟に応じた経験を促すことで,学習および発達は促進される.

発達曲線

このグラフは、成長発育を20歳でのレベルを100%として考え、各体の組織の発達・発育していく特徴を4つのパターンに分けてグラフ化したものです。(松尾保:新版小児保健医学、松尾保編、日本小児医事、出版社、東京、第5版、p10、1996より)

・神経系型(脳、脊髄、視覚器、頭径)
リズム感や体を動かすことの器用さを担う。出産直後から急激に発達し、4,5歳で成人の約80%にも達します。

・リンパ系型(胸腫、リンパ節、同質性リンパ組織)
免疫力を向上させる扁桃、リンパ節等のリンパ組織の発達です。
生後~12,13歳頃までにかけて急激に成長し、大人のレベルを超えますが、思春期すぎから大人のレベルに戻ります。

・一般型(全身の計測値(頭径を除く)、呼吸器、消化器、腎、心大動脈、脾、筋全体、骨全体、血液量)
一般型は身長・体重や肝臓、腎臓等の胸腹部臓器の発育を示します。
特徴は幼時期までに急速に発達し、その後は次第に緩やかになり、二次性特徴が現れる思春期に再び急激に発達します。思春期以降 に再び発育スパートが見られ大人のレベルに達します。

・生殖器系型(睾丸、卵巣、副睾丸、子宮、前立腺など)
生殖器系型は男児の陰茎・睾丸、女児の卵巣。子宮などの発育です。
小学校前半までは僅かに成長するだけで、14歳あたりから急激に発達します。生殖器系の発達で男性ホルモンや女性ホルモン等の 性ホルモンの分泌も多くなります。

身体の発育

新生児~1歳(0~12ヶ月)の成長曲線

赤ちゃんの月齢が進むにつれて、体格や性格に個人差が生じてきます。しかし、赤ちゃんが健康で機嫌がよく、母子手帳の身体成長曲線のグラフの曲線に沿って成長していれば、多少帯から外れていても心配は要りません。

 運動機能の発達については、寝返りやお座りがすぐにできるようになる赤ちゃんもいれば、ゆっくり時間をかけてできるようになる赤ちゃんもいます。体をさすってあげるとよく笑う赤ちゃんもいれば、あまり笑わない赤ちゃんもいるし、よくしゃべる赤ちゃんもいれば、おとなしい赤ちゃんもいます。

 生まれたときからみんなそれぞれの「個性」を持っているのですから、違って当たり前なのです。悩みや不安の多くは、他の赤ちゃんや上の子と比較することによって起こります。誰にでも個体差があり、それが「個性」(=その子らしさ)だと受け入れることで、子育ての悩みを軽くすることができるかもしれません。

月齢別赤ちゃんの成長(平均値)[平成22年度調査]

男児
月齢身長体重
0ヶ月
(新生児)
44.0~52.6cm2100~3760g
1ヶ月50.9~59.6cm3530~5960g
2ヶ月54.5~63.2cm4410~7180g
3ヶ月57.5~66.1cm5120~8070g
4ヶ月59.9~68.5cm5670~8720g
5ヶ月61.9~70.4cm6100~9200g
6ヶ月63.6~72.1cm6440~9570g
7ヶ月65.0~73.6cm6730~9870g
8ヶ月66.3~75.0cm6960~10140g
9ヶ月67.4~76.2cm7160~10370g
10ヶ月68.4~77.4cm7340~10590g
11ヶ月69.4~78.5cm7510~10820g
12ヶ月
(1歳)
70.3~79.6cm7680~11040g
女児
月齢身長体重
0ヶ月
(新生児)
44.0~52.0cm2130~3670g
1ヶ月50.0~58.4cm3390~5540g
2ヶ月53.3~61.7cm4190~6670g
3ヶ月56.0~64.5cm4840~7530g
4ヶ月58.2~66.8cm5350~8180g
5ヶ月60.1~68.7cm5740~8670g
6ヶ月61.7~70.4cm6060~9050g
7ヶ月63.1~71.9cm6320~9370g
8ヶ月64.4~73.2cm6530~9630g
9ヶ月65.5~74.5cm6710~9850g
10ヶ月66.5~75.6cm6860~10060g
11ヶ月67.4~76.7cm7020~10270g
12ヶ月
(1歳)
68.3~77.8cm7160~10480g
成長曲線、発育曲線(男の子)
画像引用元:赤ちゃん成長ガイド
成長曲線、発育曲線(男の子)

新生児~乳児期のパーセンタイル値

頭囲のパーセンタイル(平成12年)

引用元:平成12年度乳幼児身体発育調査-estat

身長のパーセンタイル(平成12年)

引用元:平成12年度乳幼児身体発育調査-estat

胸囲のパーセンタイル(平成12年)

引用元:平成12年度乳幼児身体発育調査-estat

体重のパーセンタイル(平成12年)

引用元:平成12年度乳幼児身体発育調査-estat

更に詳しく知りたい方は以下のPDFを参照してください

引用元:乳幼児身体発育調査:調査の結果(平成22年)-厚生労働省

運動能力の発達

生まれたばかりの赤ちゃんは、ほとんどの時間眠っていて、ときどき手足や体を動かします。手は握られ、手足は軽く曲げられています。
 2ヵ月頃になると、新生児の下肢が伸び、足が交互に動き、手は少し開き、授乳時にはお母さんを見つめ、ゆっくりと体を動かすようになります。

また、お母さんが話しかけると微笑み、あやしてあげると笑い、小さな声を少し出すようになります。

以下は運動機能の発達の表です。

 運動言語・探索・操作社会性・食事・対人関係
0~1
か月
・肘や膝を軽く曲げている
・手足を左右ほぼ同じ様に動かす
・手のひらに触れたものを握る(把握反射)
・大きな音にびっくりする
・人の顔をぼんやり見る
・20㎝位離れたボールや顔を目で少し追う
・気分の良い時は1人で微笑する
・空腹時にはよく吸てつする
・空腹時には元気に泣く
3~4
か月
・立て抱きで頭がぐらつかない(首すわり)
・支えて立たせると両足に少し体重をかける
・両手を合わせて遊ぶことがある
・人の声に振り向く
・180度追視ができる
・抱いて歩くと周囲をキョロキョロ見回す
・話しかけるとアーウーなど、声を出して喜ぶ
・親と他人の顔を多少区別する
・気に入らないことに対してそっくり返る
6~7
か月
・ねがえりする
・支えなしで座る(おすわり)
・手に持っているものでテーブル等をたたく
・テレビの番組の変わり目にハッと向く
・声をかけると意図的にさっと振り向く
・遠くのおもちゃを取ろうとする
・イナイ・イナイ・バーを喜ぶ
・要求があると声を出して大人の注意をひく
・遊んでいる玩具を取ろうとすると抵抗する
9~10
か月
・はいはいする
・何かにつかまって1人で立ち上がる
・親指を使って小さなものをつかむ
・意味なくママ、パパなどをいう
・引き出しを出したり、中の物をいじる
・不快な行動を経験した後、それを避ける
・音楽や歌を聞かせると手足を動かして喜ぶ
・他人が食べている食物を欲しがる
・知らない人をはじめは意識する
12~14
か月
・ぎこちなく歩く(1人歩き)
・階段をはってのぼる
・めちゃくちゃ描きをする(なぐり描き)
・ママ、パパなど意味のある単語をいう
・大人の簡単な行動をまねする
・簡単ないいつけを理解してする
・子どもの中に交って1人で機嫌良く遊ぶ
・自分でさじを持ちすくって食べようとする
・怒って物をなげることがある
18~20
か月
・音楽に合わせて全身を動かす
・片手を支えられて階段をのぼる
・積木を2~3個重ねる
・欲しいものの名前をいう
・本を見て知っているものを指さす
・おしっこの後でチーチーなどといって知らせる
・好きな遊びに夢中になる
・食物以外は口に入れなくなる
・大人の反応を見ながらいたずらをする
2歳・両足でピョンピョンとぶ
・自分でボールをける
・本のページを一枚ずつめくる
・2つの単語をつなげていう(2語文)
・いちいち「ナアニ」ときく
・よく言いきかせるとがまんすることもある
・子どもどうしで追いかけっこする
・食卓で他人のものと自分のものを区別する
・玩具をめぐって子どもどうしでケンカする
3歳・三輪車をふんで動かす
・ぶらんこに立ってのる
・丸を描く
・ボク、ワタシなどという
・名前を呼ばれると返事をする
・「これは何」「どうして」と盛んにきく
・他の子に「~しようか」と誘いかける
・昼間のおもらしはなくなる
・友達とケンカをするといいつけにくる
4歳・でんぐり返しをする
・片足でケンケンをしてとぶ
・正方形を描く
・経験したことを話す
・片方の指を数える 
・はさみで簡単な形を切りぬく
・友達を自分の家に誘ってくる
・食事は自分でだいたい食べる
・自分が負けるとくやしがる
5歳・スキップを正しくする
・なわぶらんこに立って自分でこぐ
・ひもを片結びに結ぶ
・自分の家の住所、番地をいう
・思ったものを自分で書
・いくつかの文字や数字を読んだり書く
・1人で衣服の着脱ができる
・1人で大小便ができる
・いけないことを他の子に注意する

 

栄養

正常な新生児は探索反射吸啜反射が活発で、出生後すぐに母乳を与えることができるため、医師は新生児を母親の胸に抱かせて出生後すぐに母乳保育を開始することを勧めています。そうでない場合でも、出生後少なくとも4時間以内に母乳育児を開始する必要があります。人工授乳も選択肢のひとつです。

ほとんどの乳児は、母乳と一緒に空気を飲み込みます。乳児は自分でげっぷを出すことができないので、親の手助けが必要です。乳児を直立させ、親の胸にもたれかからせ、頭を親の肩に乗せ、背中をやさしく叩きます。背中をたたき、肩を圧迫することで、乳児がげっぷの音を聞き分けられるようにします。このとき、少量のミルクが吐き出されることがあります。

固形食を始める時期は、その子の必要性と準備状況によって異なりますが、ほとんどの赤ちゃんは生後4〜6ヵ月までに固形食を食べられるようになります。

授乳と食事に伴う問題

子供が食べる量は日によって異なります。わずかな変動はよくあることで、子どもが病気の徴候や成長の変化を示した場合にのみ注意する必要があります。

生後1週間で体重減少が出生時体重の5-7%を超えたら、栄養失調の可能性があります。母乳栄養の新生児は約2週間で、人工栄養の新生児は約10日で出生時の体重に戻ります。その後、生後数カ月は1日20〜30gの体重増加が必要です。生後5ヶ月頃までには、体重は約2倍になります。

親子関係

乳児

泣くことは、乳幼児にとってコミュニケーションのひとつです。

空腹、不快、苦痛などの理由で泣きますが、その理由は明確でないこともあります。

生後6週間ごろに最も多く、通常1日3時間程度泣き、生後3カ月ごろには1時間程度に減少してきます。乳幼児が泣いたら、親は一般的に食事を与え、おむつを交換し、痛みや不快感の原因を探します。

それでも泣きやまないときは、抱っこしたり、散歩に連れ出したりすることが効果的な場合があります。何をやっても泣き止まないこともあります。

空腹が苦痛の原因と考えたときに、喜んで食べるだろうと思って、泣いている乳幼児に無理に食べさせたりしないようにしてください。

生後8ヵ月頃の乳幼児は、親と離れることに強い不安を感じているのが普通です。

親と別々に寝たり、子どもを保育園に預けたりすることが難しく、かんしゃくを起こすこともあります。

このような行動は、数カ月間続くこともあります。このようなとき、特別な毛布やぬいぐるみが、親がそばにいないときに相手をしてくれる代用品となる場合があります。

アタッチメント

アタッチメントとは「ある特定の対象と形成される愛情のきずな」と定義されます。精神科医のボウルヴィが提唱しました。

今回の課題の新生児・乳児期とは少し離れるかもしれませんが、少し触れておきます。

ある特定の対象というのは基本的には「母親」です。

人間はみな母親から生まれてくるのだから、母親との愛情の絆がきちんと確立されているかどうかが問題になります。
生まれてすぐに乳母に育てられたり、生まれて間もなく母親が亡くなり、父親が叔母に育てられたりすることはあり得ますが、基本的には母親とされています。

どのようなモデルか

愛着に歪みがあるから、それがトラウマとして記憶され、そのトラウマのせいで、愛情の絆がうまく形成されないと言われています。
そこが混乱しているため、「大人が怖い」「母親が怖い」「優しいものが怖い」「安心できるのは毛布だけ」などとなってしまうようです。

その結果、大人になっても「この人も私をいじめてくるのではないか」「この人も私をいじめてくるのではないか」など、対人関係の構築がうまくいかなくなることがあります。
これは、はじめにつまづいてしまうと、あとから改善できないパターンです。

それが原因で大人になってからも対人関係をうまく作れない、例えば「この人もいじめるのではないか」と思ってしまうこともあります。
最初でつまづいてしまって、後から改善していけないパターンと言われています。

しかし、現実には、子どもは悪い親に虐待されたから悪いのではなく、学校の友達、支援者、先生など、いろいろな場面で立ち直ることができるのです。
母親がダメでも父親がいい場合もありますし、その逆もあります。

また、表面上はうまくいっていても、心の底では不満を持っていたり、うまくいっているように見えても、実は嫌がらせをしているケースもあります。挙げればきりがありません。

アタッチメントに歪みがある場合

アタッチメントに問題があるとこのようなことがあります:

・自己認識がうまくできない
自分というものがどういうものなのか、今ひとつ捉えきれないことが続きます。

・自己コントロール、感情、衝動性
感情の起伏が激しくコントロールできない、衝動性を抑えられない、ギャンブルをしてしまう、お酒に逃げてしまうといったことがあります。

・共感力、対象理解
共感や対象理解が苦手だったりします。

これらは、発達障害の特徴のように思えます。


確かに被虐待者が発達障害の特徴を持つことはあります。
しかし、両者は質的に異なります。

不安や恐怖で対象から距離を置くことと、発達障害の人が能力がないから距離を置くこととは、質的に違います。
本人が理解できなくても、周囲はなんとなく理解できるかもしれない。

でも、その臨床感覚を研究に活かして論文を書くのは難しいし、その臨床感覚を患者さんに伝えるのも難しい。患者さんが信じたいこともありますし、私が考えていることをすべて患者さんに理解してもらうことが正しいとは思えません。

トラウマ

トラウマ的な要素がある場合:

・外界の恐怖
外界は怖いもの、生きているのは良いことではないと思っていますし、思い込んでいます。

・サバイバル的日常
日常はサバイバルで食うか食われるかです。

・離人感、解離
気が弱いと離人感や解離が起きたりします。「複雑性PTSD」といわれたりします。

このように、内側も外側も混乱があるというのがアタッチメントの問題で起きることです。

あなただけではない?!

アタッチメントの患者さんは、繰り返し「そう感じたのはあなただけではない」と言われます。

彼らはそれでたくさん苦しんでいます。

確かにレジリエンス(回復力)には差があります。
例えば、外国では貧民街で育ったラッパーやボクサーで、今でも成功している人がいますが、彼らは生まれつきのレジリエンスが違うんです。
周りの人が優しかったからできたというケースもあります。
だから、人それぞれなんです。

被害だけに目を向けるのではなく、環境やその人自身の資質など、いろいろなことをトータルで考えていく必要があります。責めることも叱ることもNGなので、本人に共感することが大切です。

トラウマを抱えた本人にどこまで寄り添うかは、セラピストの価値観やセンスによるところもあります。どんどん関わり、伴走していこうとする治療パターンもあれば、「世の中はこうなんだ」と距離を置く治療パターンもあります。どちらがいいとは言えません。患者さんの考え方次第です。

虐待については、児童相談所が関与することもありますが、いろいろと法的な不備やマンパワーの問題があります。本当に足りないケースも多いが、どこまでやれば足りるのか、という問題もあり、難しい分野です。

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