【必修問題】ウェルネスの概念とは何か

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【必修問題】健康の定義と理解
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ウェルネスの必要性

健康意識や人生観が多様化する中、医療現場でもウェルネス志向の看護を実践する必要性が高まっています。ウェルネス志向の看護の特徴や病院での実践のポイントに迫り、患者さんにとって本当に必要な支援やケアとは何かを改めて考えてみましょう。

ウェルネスとは?

ウェルネスとは、人々がより良い生活を送るための健康維持活動や姿勢全般を指す概念です。1961年、アメリカの公衆衛生学者であるハルバート・ダン博士が世界で初めてウェルネスという概念を提唱し、「輝いて生きている状態」と表現した。

世界保健機関(WHO)の定義するウェルネスよりも広い意味を持つのが特徴です。近年では、飲食業界、フィットネス業界、旅行業界、不動産業界など、さまざまな業界・業種の企業がウェルネスという概念を取り入れています。

ウェルネス状態の度合いを判断するには、心身の状態、社会への貢献度、生活環境など、さまざまな指標をもとに総合的に判断する必要があります。また、ウェルネス状態を実現するためには、対人関係の充実度や職場環境の良し悪しも重要な要素になります。

なぜ看護の世界でもウェルネスという概念が重視されるのか?

ウェルネスは医療・看護業界で重視されている概念で、2018年には看護師国家試験の出題基準にウェルネスの概念が追加され、健康についてのより深い概念的な知識が要求されるようになりました。ウェルネスの概念にもつながる健康増進法では、医師や看護職員に健康増進要員としての機能を求めています。

看護職員は、患者さんの命と健康を守る専門職です。看護職員がウェルネスの概念を深く理解し、高い倫理観を持って行動することが患者さんのためになるのです。そもそも看護とは、「健康で幸せに暮らしたい」という患者さんの願いを実現するために、必要な支援や心のケアを行うことです。本当の意味での「看護」を実践するためには、ウェルネスの概念を取り入れ、さまざまな健康状態にある人々に対して、普遍的な支援やケアを提供することが必要なのではないでしょうか。

より良い健康のためのウェルネス志向の看護の特徴

従来の看護方法は、患者の病気やケガなどの「問題」に焦点を当て、必要な支援やケアを検討してきました。そのため、現在、異常や合併症がない患者さんに対しても、問題点を探し、支援やケアを検討せざるを得ないことがあります。

ウェルネス志向の看護の特徴は、患者さんの良い面に着目し、必要な支援やケアを検討することです。現在の健康状態が「良い」と判断されれば、問題点を探すことなく、「すでに健康である」とそのまま評価するのです。さらに、ウェルネス志向の看護では、患者の望む健康状態に注目します。より良い健康状態を実現するための方策を検討することが特徴です。

ウェルネスが活かされる看護の場面

特に母性看護学や老年看護学においてウェルネス志向の看護を実践することは重要である。以下、母性・老年看護学とウェルネス志向の関係について、より詳しく説明します。

母性看護学への応用

母性看護学とは、妊娠期および産褥期の女性・子ども・家族への支援とケアを行う学問です。母性看護学では主に、次世代を担う子どもの健やかな成長、妊産褥婦の健康維持・増進、疾病予防のために必要な支援やケアについて検討します。

母性看護学は、健康上の問題がない人を対象とすることが多いため、ウェルネス志向と親和性の高い分野といえます。母性看護学にウェルネス志向を取り入れることで、対象者の身体的・心理的特徴に応じた適切な支援・ケアを行うことができます。

老年看護学への応用

老年看護学とは、高齢者の意思を尊重し、その人らしい生活を送ることができるよう支援・ケアを行うことです。ウェルネス志向の老年看護は、健康寿命の延長や、個人の価値観に基づいた生きがいづくりに活用されることがあります。

ウェルネス志向の老年看護では、患者さんの人生経験や生活習慣をもとに、患者さんと良好な関係を築いていきます。患者さんの人生経験や生活習慣は一人ひとり異なるため、画一的な看護では適切な支援やケアを提供することができません。ウェルネス志向の老年看護では、高齢者一人ひとりに対して異なるアプローチと包括的なアセスメントが必要です。

また、ウェルネス志向の老年看護は、対象者の身体能力の維持・向上のために必要な支援やケアを提供することを特徴としています。ウェルネス志向の老年看護では、対象者が年齢を重ねても自分らしい生活を送り、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させることができるのです。

ウェルネス志向の看護で重視される3つの視点

ウェルネス看護では、患者さんと接する際に、従来の看護とは異なる視点が必要となります。ウェルネス志向の看護では、特に3つの視点が重要視されます。

1.健康の維持・増進

  • ウェルネス志向の看護では、現在の問題を解決するだけでなく、患者の健康状態の維持・増進を支援することに重点を置いています。そのため、ウェルネス志向の看護診断では、患者の健康状態が改善されているか悪化しているかを定期的に評価することが重要である。
  • 従来の看護診断では、アセスメントの結論として、看護によって解決できる問題を特定します。   ウェルネス志向の看護診断では、アセスメントを通じて「看護がどのように健康状態を維持・向上させることができるか」も検討します。

2.予防と予測

  • ウェルネス志向の看護では、将来的に身体の健康を悪化させる要因を予防することを目指す。例えば、体力や回復力が低下した高齢者が転倒すると、大けがをして寝たきりになってしまう可能性がある。寝たきりにならないためには、ケガをする前から「自分の体力に合った運動習慣を身につける」などの対策が重要です。
  • 病気やケガを予防・予知することは、患者さんの健康を維持・増進するための重要な視点です。看護職員も必要に応じて医師、理学療法士、作業療法士等と連携し、病気やケガの予防・予知に努めたいものです。

3.研修時の問題解決の視点

  • 看護スタッフを抱える病院は、ウェルネス志向の看護を実践するために、看護スタッフを教育する責任がある。そのため、病院は看護職員が看護職員としての責任を自覚し、看護技術を習得できるよう、十分な研修の機会を提供する必要がある。
  • 厚生労働省では、看護職員の質の向上を図るため、新人看護職員研修や中堅看護職員研修を実施する病院に対して財政支援を行っています。病院が支援を受けるためには、新人看護師の定着が難しい、へき地の病院に所属する看護師の研修機会が少ないなど、地域の課題を解決する方法を検討する必要があります。

まとめ

ウェルネス看護とは、「健康で幸せに暮らしたい」という患者の願いを叶え、ウェルネスな状態へと導くために必要な支援やケアを提供することである。ウェルネス看護では、将来的にウェルネスを損なう可能性のある要因に着目し、必要な支援やケアを提供することが必要である。

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