【必修問題】対象の特性

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【必修問題】人間の特性

看護師国家試験出題範囲 目標Ⅱ.看護の対象および看護活動の場と機能について基本的な知識を問う。の『大項目』中に「人間の特性」があり、『中項目』には今回のタイトルである「対象の特性」があります。小項目として問われる内容は以下のとおりになります。

  • QOL
  • 健康や疾病に対する意識
  • 疾病・障害・死の受容
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QOL

QOL(Quality of Life)とは、「生活の質」「人生の質」と訳される。患者さんの状態を測定する指標の一つです。

QOLは高低で表され、「元気があるか」「生きがいを感じているか」「日常生活に満足しているか」が主な判断材料となっています。医療機関がさまざまな工夫をして、患者さんが生きがいを感じられるようにすることを「QOLの向上」、患者さんが日常生活に苦痛を感じることを「QOLの低下」といいますが、このQOLの向上と低下は、医療機関が患者さんに対してさまざまな工夫をすることで、患者さんが生きがいを感じられるようになります。
例えば、がん患者さんの場合、病気の進行に伴って発症する「痛み」「食欲不振」といった症状から、治療に使用する抗がん剤の副作用である「脱毛」「吐き気」といった症状まで、すべてがQOL低下の材料になり得ます。

医療現場でQOLが重視されるようになったのは、ごく最近のことです。
これまでは、病気を「治す」ことに重点を置いた治療が行われてきました。しかし、現在では病気の進行度だけでなく、患者さんのQOLが高いか低いかも、病状を判断する上で非常に重要視されるようになりました。


QOLが重要であるという考え方が広まったおかげで、患者さんが感じる苦痛を軽減しようという動きが出てきており、いたずらに延命することが正しいのかどうかという新たな議論も活発になっています。

QOLの測り方

患者さんの主観的な幸福感や生活の質を示す指標であるQOLは、WHOが作成したWHOQOL-100という尺度で測定されます。WHOが定めた身体的、心理的、社会的、自立的、経済的、宗教的健康の6分野の合計100問の質問に、患者さんが満足度に応じて1~5で回答するものであります。患者さんは、満足度に応じて1~5段階で質問に答えます。

医療・介護を受ける患者さんのQOLを測定し、医療の質の向上や、患者さんと支援者の信頼関係を深めるために活用することが推奨されています。

引用元:WHO-WHOQOL-100

健康や疾病に対する意識

健康と疾病は対義語であるため、ここでは健康についての考え方をいくつか解説します。

健康の概念

1947年に採択されたWHO憲章では、前文において「健康」を次のように定義しています。

健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」

健康日本21

健康日本21(第二次)は、健康増進法において厚生労働大臣が定めることとされている「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」(以下、基本方針)をもとに推進される国民運動である。
 2021年8月4日(水)に厚生労働省より「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針の一部を改正する件」が告示され、基本方針が改正された。これにより、健康日本21(第二次)の期間が1年延長され、2013年度から2023年度の11年間となった。
 この決定は、2021年1月21日(木)に開催された第43回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において、自治体と保険者による一体的な健康づくり政策を実施するため医療費適正化計画等の期間と健康日本21(第二次)に続く次期国民健康づくり運動プラン(仮称)の期間とを一致させること等を目的としたものである。
 なお、下記の各目標に係る年および年度については、健康日本21(第二次)の期間の延長に伴う変更は行われない。
健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標
・主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底に関する目標
・社会生活を営むために必要な機能の維持・向上に関する目標
・健康を支え、守るための社会環境の整備に関する目標
・栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善に関する目標

 また、この改正により次期国民健康づくり運動プラン(仮称)は2024年度からの実施となったため、2022年度の策定・公表から1年の猶予をもって、都道府県計画の策定・公表が行えることとなった。

出典元:健康日本21(第二次)-厚生労働省

疾病・障害・死の受容

疾病・障害・死の受容過程について、国試等で押さえておきたい理論をいくつか紹介します。

フィンク「危機モデル」

①衝撃

②防御的退行

③承認(ストレスの再現)

④適応

キューブラ・ロス「死の受容過程」

第一段階=否認
自分が死ぬということは嘘ではないかと疑う段階
第二段階=怒り
なぜ、自分が死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階
第三段階=取引
何とか死なずにすむように取引をしようと試みる段階、何かにすがろうという心理状態。
第四段階=抑うつ
何にもできなくなる段階
第五段階=受容
最終的に自分が死に行くことを受け入れる段階である。

コーン「障害受容のプロセス」

1.ショック

大きな混乱により、事態を理解できていない

2.回復への期待

障害がなくなり、すぐに治ると思っている

3.非嘆

希望を失い、無気力で回復意欲を失っている

4.防衛

「これまでと何も変わらない」と思いながら、それまでに行っていたことに執着する

5.適応

障害は「人と違う部分」であるだけで、悪いものではないと受容する

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