【各論】呼吸器系

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【各論】呼吸器系
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呼吸とは

呼吸とは、酸素を取り込み、二酸化炭素を排出することです。鼻腔に入った空気は、喉頭に入ります。鼻腔から喉頭にかけての部分を上気道といいます。喉頭には、甲状軟骨と声帯があります。喉頭からは、気管と気管支が肺に通じています。気管と気管支は下気道と呼ばれています。

気管支

空気中には、ほこりや汚れ、場合によっては細菌やウイルスなどが含まれています。気道はこれらの異物の通り道であるため、異物に対する防御システムが備わっています。気道の表面(気道上皮)は、上皮細胞に毛が生えた「多列線毛上皮」になっています。
気道の表面は、杯細胞から分泌される粘液で潤っています。異物が侵入すると、粘液によって捕捉されます。線毛の働きで粘液が口の方へ、つまり喉頭から咽頭へ押し出されます。これにより、異物は咽頭へ送られ、痰として排出されるか、ある程度固まっても気づかれずに飲み込まれています。

気管支は葉気管支から区域気管支へと何度か分岐し、最後に「肺胞」へと至ります。肺胞はブドウの房のような形をしており、その周囲を毛細血管が取り囲んでいます。循環器の項で述べたように、肺動脈(静脈血)は肺に入り、肺胞の周りに毛細血管として存在します。毛細血管の壁と肺胞の壁は、非常に薄い構造でできています。

つまり、「肺動脈内の静脈血(低酸素、高二酸化炭素)」と「肺胞内の新鮮な空気(高酸素、低二酸化炭素)」は近接しているのです。

呼吸の種類

気体は、濃度の高いところから低いところへ移動する性質があります。これを拡散現象といいます。酸素は血液中(肺動脈)へ、二酸化炭素は肺胞側へ移動します。これが「ガス交換」と呼ばれる現象です。このように、外気を取り込んで肺胞と血管の間でガス交換を行う仕組みを「外呼吸」といいます。一方、酸素を多く含む動脈血は、全身の細胞に運ばれ、細胞集団に酸素を供給し、二酸化炭素(細胞の活動による老廃物)を受け取ります。このような体内の呼吸を「内呼吸」といいます。

呼吸は、肺が勝手に伸縮するのではなく、横隔膜や肋間筋などの「呼吸筋」によって行われています。横隔膜は、肺の下面を覆うようにドームのように伸びています。これが収縮する(ドームが下がる)と、胸(胸腔)内の圧力が下がり(陰圧)、空気を吸い込もうとする力が発生する。この力が空気を吸い込む原動力(肺活量)となり、肺が膨らんで空気が入るようになります。
一方、肋間筋は肋骨を挙上させることに関与しています。吸気時に肋骨を挙上させることで、胸郭を広げ、呼吸のためのスペースを確保します。

次に、空気が肺から出る仕組みを見てみましょう。肺には弾性収縮性という性質があり、外力がないときは収縮します。横隔膜や肋間筋が緩むと、肺も収縮しようとし、空気が外側(鼻の方)へ移動します。横隔膜が主に働く呼吸を「腹式呼吸」、肋間筋が主に働く呼吸を「胸式呼吸」と呼びます。本来はどちらも使って呼吸しますが、妊婦さんは横隔膜を下げることが難しいため、「肩で呼吸する」、つまり胸式呼吸がメインになります。

呼吸中枢

脳幹は、延髄、橋、中脳に分かれています。これらの「中枢」は、外部からの情報を受け取り、指示を出します。外部からの情報とは、血液中の酸素や二酸化炭素の濃度、pHなどです。これらの情報は迷走神経や舌咽神経などの副交感神経によって伝えられ、横隔膜神経や肋間神経など呼吸筋の運動に関わる神経に指示を出し、呼吸運動を調節しています。


以上のように、呼気、吸気、 ガス交換、呼吸調節によって、 体内の環境を一定に保つ働きをしています。

成人の一般的な1回換気量は、約500mL。肺活量は、 男性 3~4L、女性2~3Lとなります。

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