感覚器系
人の体の内外からの刺激は、各種の受容器によって検知されます。 受容器によって検知される情報は感覚と呼ばれ、 感覚のための受容器を感覚器といいます。 いろいろな種類の感覚は、感覚器の存在する部位によって4群に分けられます。
1. 表在感覚
全身の皮膚や粘膜によって検知されます。 触覚、圧覚、冷覚、温覚、 痛覚が表在感覚で
す。
例: お風呂に入った際に、「温かい」と感じる。
2. 深部感覚
筋肉や関節などによって検知されます。 運動感覚、 位置感覚、 振動感覚が深部感覚です。
例:閉眼の状態でも肘が伸びているのか縮んでいるのか把握できる。
3. 特殊感覚
鼻眼・耳・舌によって取り込まれ、 頭部にだけ存在する特殊な感覚器によって検知されます。 嗅覚 視覚、聴覚、 平衡覚、味覚が特殊感覚です。
例: 信号機の何色が点滅しているか見て把握する。
4. 内臓感覚
内臓領域で感知されます。 内臓痛覚、臓器感覚が内臓感覚にあたります。
例:胃がむかむかする。
循環器系
生きていると、栄養素や酸素を使い、 代謝産物や老廃物、 二酸化炭素を排出します。 それらの物質を運搬するには、 身体の隅々まで血管が通っていないといけません。血管は、 そのための道です。
血液を動かす原動力は心臓のポンプ機能です。
心臓は4つの部屋、 つまり左右の心房と心室からなります。 血液の拍出に関わる心室は心房より壁が厚く、 また、 体循環に関わる左心室の壁は右心室より約3倍厚くなっています。
全身で酸素を消費し、二酸化炭素をたくさん積んだ血液 (静脈血)は右心房に戻ってきます。
静脈血は右心房から右心室に移動し、右心室から「肺動脈」を通じて肺に送り込まれます。 肺ではガス交換 (次項参照) が行われ、静脈血から動脈血(酸素をたっぷり含んだ血液) に変わります。
次に、肺でガス交換された動脈血は左心房に返り、左心室を経て大動脈に流れます。 大動脈は、動脈血を全身に運ぶ血管の大もとです。
そして全身の細胞は、 毛細血管を介して酸素と二酸化炭素の交換を行って静脈血に変化するという具合に、ぐるぐる巡ってきます。
循環とは心臓から肺に出向き、肺から心臓に戻る循環 (肺循環) と、 心臓から全身に出向き、 全身から心臓に戻る循環 (体循環)とに分けられます。
ここで注意してほしいのは、動脈は “血管” のことであって “血液” ではないということです。 動脈は心臓から送り出されて目的地に出向く血管です。
心臓の収縮によって血液が押し出されますので、 血管が拍動に合わせて動くから動脈といいます。 このことから、 肺動脈に静脈血が流れているという理由がお分かりいただけるでしょう。
・心臓から肺に “出向く” 血管→肺動脈 (静脈血)
・肺から心臓に “戻る” 血管→肺静脈 (動脈血)
・心臓から全身に“出向く” 血管 大動脈 (動脈血)
・全身から心臓に“戻る” 血管→大静脈 (静脈血)
次に、動脈血と静脈血では 「色」も異なります。 赤血球に含まれるヘモグロビンに酸素が結合すると (酸素化ヘモグロビン)、 鮮紅色になります。 一方、静脈血は酸素が離脱したヘモグロビン (還元ヘモグロビン) が多く、 暗赤色になります。 ちなみに、 「チアノーゼ」 とは血液中の酸素が減少し (還元ヘモグロビンの増加)、 皮膚や粘膜 (口唇や爪に現れやすい) が青紫色を帯びることをいいます。