泌尿器系
エネルギーを得たり、体の構成要素を作ったりと、体内では多くの化学反応が起こっています。
しかし、どうしても避けられない問題があります。それは、化学反応による老廃物です。アンモニア、クレアチニン、尿素、尿酸などの物質は、代謝産物とも呼ばれ、いわゆる老廃物です。
これらが体内に蓄積されると、問題が発生します。つまり、腎臓や泌尿器は、これらの老廃物や、余分なビタミン、水分、電解質などを排泄しているのです。
腎臓や泌尿器は、体内環境を一定に保つ「ホメオスタシス」と呼ばれる働きに非常に重要な役割を担っているのです。泌尿器系は、腎臓、尿管、膀胱、尿道から構成されています。ここでは、腎臓の構造と働きについて見ていきます。
腎臓は左右に1つずつあるソラマメ型の臓器です。
肝臓の下にある後腹膜臓器(腹膜の奥にある臓器)です。腎臓の中央には、腎動脈、腎静脈、尿管の3本の管があり、腎門から出入りしています。腎臓の内部は、大きく皮質と髄質に分かれています。
皮質側には腎小体があり、髄質側には尿細管と集合管があります。腎小体はマルピーギア小体とも呼ばれ、血液を濾過するところです。尿細管は、近位尿細管、ヘンレ環、遠位尿細管に細分化され、集合管につながります。
ここで、腎臓でどのように尿が作られるかを見てみましょう。腎動脈は腎臓に入ると枝分かれし、やがて「輸入細動脈」となって糸球体(糸くずの絡まったもの)を形成します。
糸球体は、ボーマン嚢という袋に囲まれています。ここで血液の液体成分が濾過され、ボーマン嚢から腎尿細管へと流れ込む。このろ過された液体を原尿といい、1日にろ過される量は約160リットルです。
しかし、このろ過された成分には、アミノ酸、ブドウ糖、ビタミン、水分などの有用物質も含まれています。さらに、かなりの量の水も濾過されます。
そして、尿細管上皮細胞は、再利用可能な水と有用物質を取り込み、尿細管の周囲の血管に運びます。この過程を「再吸収」といい、ブドウ糖、アミノ酸、水溶性ビタミンなどはほぼ100%再吸収されます。
酸、薬物代謝物、尿素などの特定の物質は、尿細管上皮細胞から直接尿細管に排泄されます。
この機構を分泌という。つまり、腎臓では、ろ過、再吸収、分泌の3つが尿を作る重要な要素となっているのです。最後に、成人の膀胱容量は約500mLで、1日に排泄される尿の量は約1,500mLと言われています。
つまり、原尿の約99%が再吸収されていることになります。
では、腎臓を出た尿はどのような経路をたどるのだろうか。
尿管を通り、膀胱に貯まる。膀胱に数百ミリリットルの尿がたまると、「尿意」を感じ、排泄信号が発生する。条件が整うと、膀胱の下部にある尿道括約筋が緩み、尿が尿道から流れて体外に排泄されます。
腎臓は尿の生成のほかに、血圧上昇に関係するレニンや、赤血球生成に関係するエリスロポエチンを分泌しています。さらに、ビタミンDを活性化し、カルシウムイオンの調節に関与しています。
腎機能を評価する検査としては、次のようなものに注意する必要があります。
項目 | 基準値 |
腎血流量(RBF) | 1100ml/分 |
腎血漿流量(RPF) | 900ml/分 |
糸球体濾過値(GFR) | 100ml/分 |
血中クレアチニン(Cr) | 0.5~1.1㎎/dl |
血中尿素窒素(BUN) | 8~20㎎/dl |
クレアチニンクリアランス(Ccr) | 70~130ml/分 |
Fishberg濃縮試験 | 3回中1回は 尿浸透圧850mOsm/kg・H²O以上 |